「腸活」という言葉を聞いたことはありますか? 腸内細菌のバランスを整え、腸が元気に動けるようにメンテナンスすることを指し、ネットやテレビでも注目が集まっています。腸は老廃物排出の要の器官であり、免疫との関係も強いので、腸の不調を放っておくと病気につながることも。そこで今回は、腸活のメリットとおすすめの食べ物について管理栄養士・小原水月さんが解説します。
1.腸活、3つの効果とは?
腸活するメリットはいくつもありますが、中でも女性にうれしい効果を3つご紹介します。
1‐1.便秘解消
便秘とは、腸の動きが悪くなり、便が長く腸の中にとどまる状態。腸活をして腸の動きが活発になると、便の排出もスムーズに行われ、便秘になりづらくなります。
1‐2.免疫力アップ
腸内細菌には善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種があり、悪玉菌より善玉菌が優位な状態が理想です。善玉菌は腸内を酸性に保ち、食中毒や病原菌による感染予防に役立つほか、善玉菌自体に免疫機能を高める効果も報告されており、感染症予防に重要な働きをします。
1-3.ダイエット
腸内細菌のバランスが整い、腸が元気な状態になると、栄養の吸収効率が上がって老廃物の排出もスムーズになります。すると、代謝が上がるのでエネルギーを消費しやすい体になり、ダイエット効果が期待できるのです。
腸活で意識したい食品は、善玉菌を増やす「発酵食品」と、善玉菌のエサになる「食物繊維」。反対に、悪玉菌が喜ぶのは「動物性たんぱく質」と「脂質」なので、これが多くなりすぎないようにすることも大切です。
つまり、日本人が昔から食べてきた和食は「最強の腸活食」といえます。和食の中でも腸活にとって特に重要なのは、米、味噌、漬物の3つ。それぞれくわしく解説します。
2-1.米
現代の食生活の問題点として、食物繊維不足が懸念されていますが、これは穀物を食べる量が減っていることが一因です。米にも食物繊維が含まれているので、しっかり食べることで腸活につながります。
また、米は咀嚼(そしゃく)を促してくれるのも特徴。咀嚼すると胃の動きを促し、胃の動きが腸の動きを促すというつながりがあるので、米は栄養と形状の両面で腸活に有効な食材といえるのです。
2-2.味噌
味噌は日本を代表する発酵食品で、腸内環境改善を助ける菌も多く含まれています。例えば、野菜たっぷりの具だくさん味噌汁は食物繊維が豊富に摂れて、腸の中にいる善玉菌のエサとなるので一石二鳥な一品。また、味噌は胃腸に負担をかけづらい植物性たんぱく質の優秀な供給源でもあります。
2-3.漬物
漬物は主に野菜を調味料などに漬けこんだもので、乳酸発酵させると保存性や風味が増加。油脂を使わないものが多いので、胃腸に負担をかける心配は少ないですし、善玉菌のエサになる食物繊維と、善玉菌のもとになる乳酸菌を摂れます。
ただし、市販の漬物の中には風味調味料に浸けただけで、発酵させていないものもあるため、購入前に原材料名を確認してみましょう。
「食事に気を付けているのに、便秘がなかなか解消しない」「忙しくて食事に気を使えない」といった人は、漢方薬の助けを借りるのも選択肢の一つ。漢方薬は内側から体を整えて腸活をサポートしてくれるので、便秘解消やダイエットにも効果が期待できます。
3-1.そもそも「漢方」とは?
漢方医学は自然治癒力を高めることで、体の内側からバランスを整え、健康を目指すための学問。漢方薬は医薬品として、医師の治療でも使われていますが、自然の素材が体にやさしく働くため、一般的に副作用が少ないといわれています。
今起こっている不調を抑えるだけでなく、根本的な原因、体質の改善を目指せる漢方薬。そのため、特に便秘や疲れなどの慢性的な症状や、太りやすい体質に悩む方に最適です。
さらに、バランスのよい食事や適度な運動を毎日続けるのは難しい場合も、漢方薬なら毎日飲むだけなので、無理せず続けられるはず。漢方医学を日々のヘルスケアに取り入れてみてはいかがでしょうか?
3-2.腸活におすすめの漢方2選
・麻子仁丸(ましにんがん)
おなかの膨満感や、便が硬くなって排便が困難な状態の便秘に使われる漢方薬。食欲不振や痔の緩和にも用いられます。
・大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)
便秘やおなかの膨満感を改善するほか、慢性的な便秘に使われる漢方薬。皮膚炎や吹き出物にも用いられます。
漢方薬は体の状態や体質にうまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもありますが、たくさんの種類から自分に合った漢方薬を見つけるのは大変ですよね。そんなときは「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。
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4.腸活でキレイにスッキリ!
普段の食事に気を付けると腸が元気になり、便秘解消やダイエットも目指せます。腸は健康にも美容にも大切な器官ですので、常に整えておきたいですよね。そんな時は、専門家に相談したうえで、漢方薬の助けを借りるのも選択肢の一つ。自分に合った方法を取り入れ、毎日を気持ちよく過ごしましょう!
管理栄養士・小原水月(おはら・みづき)
ダイエット合宿所、特定保健検診の業務に携わりのべ600人以上の食事と生活習慣をサポート。自身が漢方薬を使用して体調回復した経験から、栄養学と漢方を合わせたサポートを得意とする。現在はWebを中心に食と健康の分野で執筆中。