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知性があってもたいした仕事に就けない『パリ13区』の若者と、近くて遠い日本の若者

『ディーパンの戦い』(15)でカンヌ国際映画祭・パルムドールを受賞した御年69歳のジャック・オディアールが、パリに住むミレニアル世代(2022年時点でおおむね20代中盤~30代後半)の男女4人が織りなす人間模様を描く本作。ほぼ全編モノクロのフランス映画だ。邦題の「パリ13区」とはセーヌ川の南岸に位置する区で、「1970年代の都市再開発により生まれた高層マンションやビルが連なり、アジア系移民が… 続きを読む ...

『THE BATMAN-ザ・バットマン-』――リドラーはジョーカーを超えられない

これはカレーじゃない  『バットマン』という映画は、撮る監督によって大きくテイストが変わる。それがまた、毎度の楽しみでもある。  過去の『バットマン』を振り返れば、ティム・バートンは異形や狂気に対する偏愛を、ジョエル・シューマッカーは軽いノリのエンタメを、クリストファー・ノーランは“悪”の定義とケレン味を、ザック・スナイダーは重厚かつ… 続きを読む ...

映画『牛久』は外国人「収容」の実態を暴き、ダブルスタンダードな日本を追い込む

 2021年3月、スリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが名古屋入国管理局の施設で「病死」した。ウィシュマさんは日本の子どもたちに英語を教える目的で来日したが、在留資格を失って2020年8月から同施設に収容。やがて体調が悪化するが、入管職員による酷い扱いや不適切発言などが明らかとなり、「病死」との関連性が疑われている。  このような収容施設は国内に17カ所ある。そのうちの… 続きを読む ...

佐藤二朗主演『さがす』―「ながら観」と「倍速視聴」ができない映画

 『岬の兄妹』(19)で国内映画界に衝撃をもたらした片山慎三監督が、『さがす』で商業映画デビューを飾った。連続殺人犯の懸賞金を目当てに姿を消した父親・智(佐藤二朗)を捜す中学生の娘・楓(伊東蒼)が、驚くべき真相にたどりつくミステリーであり、サイコサスペンスであり、ヒューマンドラマでもある。 続きを読む

『ただ悪より救いたまえ』――「007より面白い」という贅沢

 奮発して泊まった高級ホテルの創作ビストロより、翌日に通りすがりで入った町中華のチンジャオロース丼のほうが、ぶっちゃけ胃が満足した――ということが(筆者は)ままあるが、つい最近それを映画で体験した。贅の限りを尽くした世界的スパイ映画シリーズの最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(NTT… 続きを読む ...

『ドーナツキング』――「国策」が育てたドーナツとカニとカクテルとポテチ

 アメリカ人のドーナツ消費量は年間100億個。すなわちアメリカにおける「コーヒーとドーナツ」は日本における「ご飯と味噌汁」に近い朝食の定番だが、ドーナツの本場・カリフォルニア州にあるドーナツ店の90パーセント以上は「カンボジア系アメリカ人」が経営しているという。1980年代に彼らが個人経営の店を一気に増やしたのだ。  その発祥をたどると、カンボジアから渡ってきたテッド・ノイとい… 続きを読む ...

『由宇子の天秤』に想う「ドキュメンタリーは嘘をつく」

 社会正義を訴えるタイプのドキュメンタリーは、同情と正義の傍観者による「鉄槌下し欲」の発生システムを巧みに“利用”して作られている。  虐げられた社会的弱者の言葉は、映像にドーピング並みの説得力を与えるからだ。切々と被害を訴える彼らの画(え)と言葉は強い。視聴者を思考停止させるほどに強い。だからこそドキュメンタリーの制作者は、その強い画と言葉を採取すべく、片っぱしから弱者にマイ… 続きを読む ...