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Travis Japan・川島如恵留の初エッセイを読んで、「おもしれー男!」と心を掴まれたワケ

 Travis Japan・川島如恵留が11月22日に初のエッセイ『アイドルのフィルター』(幻冬舎)を刊行しました。この記事では、ドルオタの編集部員Mが、レビューしていきます。

※以下、本のネタバレを含みますのでご注意ください。

目次

冒頭からガッツリと心を掴まれたワケ
Travis Japan・川島如恵留は不器用で「おもしれー男」!
ファンはもちろん、就活生にも読んでもらいたい一冊

Travis Japan・川島如恵留の初エッセイ『アイドルのフィルター』、冒頭からガッツリと心を掴まれたワケ

 『アイドルのフィルター』は、46のテーマでつづられた文章と7本のコラム、そして川島本人の写真からなる200ページほどの一冊。「From すみません to ありがとう」という謙虚かつ律儀な本人の人柄を表した見出しの前書きから始まり、本のタイトルにもなっている「アイドルのフィルター」というテーマから本編が始まります。

 その題名を見たとき、なかなか芯を食った一冊になっているんだろうなと感じました。私たちドルオタの中には、担当や推しに対していい意味でも悪い意味でも“フィルター”をかけて見ている人が多いと思ったからです。

 「好き」の気持ちが強くなればなるほど、そのフィルターは厚みを増していく一方、それがなにかの拍子に剝がれて“担降り”したとき、「フィルターがかかってたんだな」って冷静になったりもしますよね。

 いち編集者として、本の核となる部分は総括的な意味合いも含めて終盤にもっていきたくもなるので、目次を見たときは、ずいぶん大胆な構成だなと感じました。でも、エッセイの冒頭で、「川島如恵留」というアイドルとしての心構えや、「単なる『偶像』の翻訳では辿り着けない先に本物のアイドルが眠っている」「私自身、隙間でも十分だから、本物のアイドルになろうともがいて生きている」(原文ママ、以下同)などと、強い覚悟がつづられていたことで、「もっとこの人の腹の内が知りたい!」と俄然興味が沸いてきます。

 そしてその思いに早速応えるかのように、続く「褒めて」というテーマでは、「ほめて! ほめて! 私をほめて!」という書き出しで、できることが増えたり、頑張ることが当たり前になるにつれてほめられる機会が減ることへの素直な不満と自己解決方法が紹介されています。

 いきなり彼の内面に迫る内容が展開され、ガッツリと心を掴まれた私は、それから一気にページを読み進め、あっという間に後書きまでたどり着いていました。

Travis Japan・川島如恵留、実はめちゃくちゃ不器用で「おもしれー男」!

 今までいろんなSTARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ事務所)のグループを応援してきた私から見た如恵留の印象は、ストイックで完璧主義、プロ意識が高くてしっかり者で、Travis Japanのママ的存在……といったところ。「今日ものえるです!」というお決まりのあいさつも、自己肯定感が高く、プライドを持って「川島如恵留」として生きている感じがして、私は結構好きでした。

 一方で、両耳にピアスホールを7つ空けて7人分のメンバーカラーのピアスをつけるほどメンバー愛が強かったり、猫好きで「22(にゃんにゃん)」の数字に強い執着を持ち、自腹で猫耳カチューシャを買ってメンバーに着けさせ、「にゃんにゃん」と言わせる動画を「ISLAND TV」(23年12月末にサービス終了)で公開したりと、ぶっとんだ一面もある人だと思っていたんです。

 でも、今作を読んで、それがガラリと一変。表紙の帯には、事務所の先輩であり、青山学院大学の先輩でもあるNEWS・加藤シゲアキから、「川島如恵留はあまりにも人間だ」とのコメントが寄せられていますが、まさにその通り。

 承認欲求が高く、ルールやゴールを設定しないと惰性で動くことができないめんどくさがりで、「最近気づいちまった事がある。『おれは友達が欲しい!』みたいなんだ」と、江戸っ子口調でうったえたかと思えば、「どうしても許せないことがある」と嘆き、悔し涙を流したこと、悩みやコンプレックスも赤裸々に明かすなど、実はめちゃくちゃ不器用!

 抜群の歌唱力やダンススキルを生かしてアイドルとして活動する傍ら、宅地建物取引士、旅行業務取扱管理者などの資格を取得し、今年4月には個人事務所を立ち上げ、代表取締役としての顔を持つなど、多方面で能力を発揮している彼には超人的なものを感じていましたが、人間らしい泥臭さもあり、「如恵留も人間なんだなぁ」と安心すると同時に、人としての“深み”にハマり、「如恵留っておもしれー男!」と、彼のことが前より好きになりましたよ。

 日頃から、公式モバイルサイト「FAMILY CLUB web」のブログを頻繁に更新していますし、「GINGER WEB」の定期連載「のえるの心にルビをふる」や、今年4月の個人事務所設立を機に立ち上げた公式YouTubeチャンネル「のえるの隙間時間」でも、積極的に自分の思いを言葉にしていますが、現役アイドルがここまで胸の内をさらけ出してくれることって、結構貴重なのでは……? 

 アイドルによっては多くを語らず、「パフォーマンスがすべて」「俺(私)の姿から感じ取って」「内面まで知られるのは恥ずかしい」という人もいますし、そんな中で、こうやって本を通して頭の中を覗き見できるんですから、トラジャ担、のえ担にとってはこの上ない幸せなはず。

 しかも本の発売日は如恵留にとって30歳の誕生日。節目を迎えた自担からのプレゼント、シンプルにうらやましい限りです。

Travis Japanファンはもちろん、就活生にも読んでもらいたい一冊に

 なお、本の中では、Travis Japanのリハーサルの進め方、2ndシングル「Moving Pieces」(23年5月15日リリース)で髪形を変えたときの話など、如恵留個人の話だけでなく、グループ活動でのエピソードも複数登場します。

 アイドルとファンの関係性を自転車の「ペダル」にたとえたページでは、コンサートのチケットやCDの売り上げに関する話題も飛び出し、演者側が言う「どうしても数字が必要なのだ」という言葉には、なんともいえない気持ちになりました……。

 また、メンバー全員で23年3月にアメリカ・ロサンゼルスへと留学し、現地で英語やダンスを学びながら共同生活を送った中で感じた焦りや葛藤、22年10月28日に「JUST DANCE!」で全世界配信デビューが決まったときの思いなどもつづられているので、トラジャ担には必ず手に取ってほしい一冊です。

 また、如恵留はエッセイの中で、ただ自分の性格を分析をするのではなく、これまでの経験から、自己肯定感の上げ方・機嫌の取り方までをしっかり提示してくれるため、ドルオタのみならず、就職活動で自分のアピールポイントに悩む学生がいたら、ぜひ気分転換に読んでほしいところ(エッセイの中には「面接のススメ」というテーマもありますよ)。

 ちなみに、本編の最後は「酸より甘さ」というテーマで締めくくっているんですが、他人に甘えることが苦手だという彼は、思い切って飛び込んでみることの大切さに気付いたといい、「カッコつけるところはつけるけど、甘えられる時にはきっちり甘えていきたいと思う」とつづっていました。

 体調不良により10月28日にグループの公式YouTubeチャンネルで行われた『2nd Anniversary YouTube LIVE』や、11月26日放送の『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)の収録を欠席していたようですが、ネット上のファンの声によると、体調不良で仕事を休むのは今回が「初めて」だったそう。

 疲れたときは休んでメンバーや周囲の人間に甘えつつ、「今日ものえるです!」と、毎日健やかに過ごしてほしいと思った次第です。

By Admin