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「彼女は私だ」幡ヶ谷バス停殺人事件をモチーフにした劇映画『夜明けまでバス停で』

 「彼女は私だ」  2020年11月16日未明に渋谷区幡ヶ谷のバス停で起きた暴行致死事件のあと、そんな声がSNSに上がった。NHK総合のドキュメンタリー番組『事件の涙』が亡くなった大林三佐子さんの生前の足取りを伝えると、その声はより大きく広がった。コロナ禍で仕事と居場所を失った大林さんは、バス利用者の邪魔にならないよう、運行を終えた後の深夜のバス停で過ごしていたところ、男に頭を… 続きを読む ...

警察は暴力を許された職業なのか? SNS上の動画が訴える『暴力をめぐる対話』

 無抵抗の市民を警棒で何度も殴りつける警官たち、車の中で怯えている市民を窓ガラスを叩き割って引き摺り出す警官たち、歩道にたたずむ市民に向かって手榴弾を投げる警官もいる……。どれもフランス各地で撮影された、フランス警察のリアルな姿だ。市民を守るはずの警察官たちが、平然と市民に暴力をふるっている。フランス映画『暴力をめぐる対話』(英題『The Monopoly of Violence』)は、世界… 続きを読む ...

実録ミステリー『空気殺人』 大企業と国家が隠蔽しようとした家庭内大量殺人

 恐怖は目には見えない形でやってくる。そんな可視化できない殺人鬼によって、幼児や妊婦たちが次々と犠牲となる痛ましい事件が起きた。さらに恐ろしいことに、その姿の見えない連続殺人鬼を野に放ったのは、大企業と国家だった。映画『空気殺人~TOXIC~』(英題『TOXIC』)は韓国映画が得意とする、実話をベースにした社会派ミステリーだ。  本作が題材にしているのは、韓国で起きた「加湿器殺… 続きを読む ...

松井玲奈主演『よだかの片想い』 “見た目問題”を扱った社会派ラブストーリー

 ひとりの少年が、ある少女と出会い、恋に落ちることで物語が始まる。“ボーイ・ミーツ・ガール”ものは、映画や小説の王道的な設定だ。だが、運命的な出会いを果たす相手は、必ずしも人間とは限らない。映画『よだかの片想い』は、ひとりの女性が一冊の本と出会ったことから企画が動き始めた。ひとりの女性が、一冊の本に恋をしたことから、物語のキャラクターたちはスクリーン上で命が与えられることになった。 … 続きを読む ...

高橋洋監督のホラー映画『ザ・ミソジニー』業深き女たちが呼び寄せる異界の恐怖!

 アリ・アスター監督が『ヘレディタリー/継承』(18)と『ミッドサマー』(19)を連続ヒットさせて以降、ホラー映画の水準は世界的にぐんと高まった。台湾では人間の本能を炙り出した『哭悲 THE SADNESS』(21)、タイでは宗教や神の存在を根底から覆す『女神の継承』(21)といった振り切ったホラー映画が、各国で続々と制作されている。  先鋭的なホラー映画を生み出してきたキーパ… 続きを読む ...

高橋ヨシキ初監督『激怒』 相互監視社会への違和感が生んだバイオレンス作

 誰もが暮らしやすい平和なユートピアを目指していたはずが、いつの間にか街は息苦しいディストピアと化していた。トム・クルーズ主演作『マイノリティ・リポート』(02)やフランソワ・トリュフォー監督作『華氏451』(66)といったSF映画では、そんな近未来の恐怖が描かれてきた。高橋ヨシキ監督の長編映画デビュー作となる『激怒』も、一般市民同士が相互監視するようになった不穏な社会を風刺する、ブラックユ… 続きを読む ...

『復讐は私にまかせて』男性優位主義的な価値観を塗り替えるバイオレンス奇譚

「愛は平和ではない。愛は戦いである」  梶原一騎原作の漫画『愛と誠』(講談社)で有名になった、インドの初代首相ジャワハルラール・ネルーが娘に宛てたと言われている言葉だ。インドとは海をはさんで近接するインドネシアで撮影された映画『復讐は私にまかせて』は、この「愛とは戦いである」という教えを地で行く格闘夫婦が織り成す、怒涛のバイオレンス奇譚となっている。2021年のロカルノ映画祭で… 続きを読む ...

新藤まなみの初主演作『遠くへ、もっと遠くへ』 この夏はいまおかしんじ祭り!

 時代の流れは、年を追うごとにスピードを上げていく。流れに乗り続けるのは容易ではないし、うまく波に乗ったつもりでも、後戻りできないところまで流されてしまいかねない。そんな現代人が抱く不安や焦燥感を、優しくじんわりと癒してくれるのが、いまおかしんじ監督の作品だ。  ピンク映画出身の監督たちの多くがそうであるように、いまおか監督の作品も社会の変化に対応するのが不得手な、不器用な人た… 続きを読む ...

ナチス体験者が語る『ファイナル アカウント』 怪物よりも恐ろしい存在とは?

 この世界には、モンスターよりも恐ろしいものがいる。そんな現実世界に実在する、モンスターよりも恐ろしいものの正体を暴いてみせたのが、ドキュメンタリー映画『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』(原題『Final Account』)だ。第二次世界大戦中、600万人ものユダヤ人が大量虐殺された「ホロコースト」の目撃者たちの証言集となっている。  アドルフ・ヒトラー率いるナチ党… 続きを読む ...

女性視点で描かれた戦争の恐怖『戦争と女の顔』 消えることのないPTSDの苦しみ

 戦争映画の多くは矛盾に満ちている。企画意図に「反戦、平和」を謳いながらも、実際に製作された映画の中の戦闘シーンには、観客に高揚感を与えるものが少なくない。スティーヴン・スピルバーグ監督の『プライベート・ライアン』(98)はノルマンジー上陸作戦をリアルに再現しているが、戦争の残酷さを伝えると同時に殺人ショーとしての刺激的な側面も持っている。トム・クルーズ主演の『トップガン マーヴェリック』(… 続きを読む ...