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「部落問題」を明るく語り合うドキュメンタリー『私のはなし 部落のはなし』

 マスコミタブーのひとつ、よく分からないから近づかないようにしている、迂闊に触れるとクレームが殺到しそう……。「部落問題」について、そんなイメージを持つ人は多いのではないだろうか。正体の分からない曖昧なイメージのものほど、人間は恐ろしく感じてしまいがちだ。  ドキュメンタリー映画『私のはなし 部落のはなし』は、そんな「部落問題」に関する曖昧なイメージを一掃する作品となっている。… 続きを読む ...

夢を実現させた後の“セカンドキャリア”を描く 木幡竜主演作『生きててよかった』

 夢を叶えることは容易ではないが、それ以上に難しいのは夢を叶えた後の人生をどう生きるかだ。憧れの職業に就くことができても、憧れの世界でサバイバルを続けることは困難を極める。最愛の相手と結ばれても、生涯を共にできるケースは稀だろう。鈴木太一監督&脚本、木幡竜主演のアクション映画『生きててよかった』は、プロボクサーの“セカンドキャリア”をモチーフに、夢を追い続けることの難しさを描いた注目すべき作… 続きを読む ...

大杉漣さんが企画に参加していた犯罪サスペンス 追われし者が「跳ぶ」瞬間を描く『夜を走る』

 2018年2月に亡くなった俳優・大杉漣さんは、名バイプレイヤーとして知られ、「300の顔を持つ男」と呼ばれるほど多くの映画やTVドラマに出演した。作品規模に関係なく、制作現場を愛し続けた大杉漣さんは、晩年にもうひとつ別の顔も持つようになっていた。それは映画プロデューサーとしての顔だった。2018年10月に公開された『教誨師』は、大杉漣さん最後の主演映画であり、初のプロデュース作品でもあった… 続きを読む ...

広瀬すず&松坂桃李『流浪の月』 恋愛とは異なる感情で結ばれた男女の新しい関係

 暗い夜空を、月は優しく照らしてくれる。いつも一定の距離を保ちながら、地球を見守り続けている。だが、そんな月の裏側は、まだ誰も見たことがない。2020年の「本屋大賞」を受賞した凪良ゆうの小説『流浪の月』(東京創元社)は、他人には知られたくない過去、見られたくない顔を持つ2人の男女を主人公にした繊細な物語だ。広瀬すず、松坂桃李が主人公を演じる映画『流浪の月』が、5月13日(金)より劇場公開され… 続きを読む ...

連続殺人鬼との遭遇が退屈な人生を激変させた! 白石和彌監督作『死刑にいたる病』

 劇薬は、希釈して効果的に使えば良薬にもなりうるが、使い方を誤ると取り返しのつかない事態を招いてしまう。サイコホラー小説の旗手・櫛木理宇が2015年に発表した『チェインドッグ』――文庫化の際に改題された『死刑にいたる病』(早川書房)は、死んだような毎日を過ごす大学生が連続殺人鬼と遭遇することによって生きる気力が湧いてくるという逆説的な物語だ。犯罪サスペンスを得意とする白石和彌監督が、阿部サダ… 続きを読む ...

山窩(サンカ)と呼ばれる漂泊民が日本にいた! 謎多き“山の民”との遭遇劇『山歌』

 かつて日本には、山窩(サンカ)と呼ばれる放浪の民が存在したことをご存知だろうか。戸籍を持たず、山から山へと渡り歩き、川魚を獲ったり、農具の箕(み)を編むことを生業としていた。都市伝説的に、日本の先住民族とも、秘密結社的な謎の集団として語られることもあった。  映画の世界では、中島貞夫監督が萩原健一を主演に迎えた『瀬降り物語』(85)で戦時中のサンカたちの生態を描いている。また… 続きを読む ...

華やかなファストファッション業界の裏側を描く映画『メイド・イン・バングラデシュ』

 Tシャツが1500円、パンツ類も3000円以下で手に入るファストファッションは、庶民の生活に欠かせないものとなっている。だが、その格安衣料を、誰がどのようにして作っているのかまで想いを巡らす機会は少ない。映画『メイド・イン・バングラデシュ』は、ユニクロやGAP、H&Mなどの世界的なアパレルメーカーの下請け先として知られるバングラデシュの縫製工場を舞台にした社会派ドラマだ。パワハラや… 続きを読む ...

SNS上での評価が人生を大きく左右する? 美談の男が詐欺師に転落『英雄の証明』

 SNSに投稿した自分のコメントに多くの「いいね」が集まると、気分が高揚する。逆にスルーされてしまうと、ヘコんでしまう。投稿するコメントの言い回しや画像を、注目が集まりやすいよう工夫するようになる。SNS上のリアクションは、実生活にも確実に影響を与えるようになってきた。そんなSNS文化は、欧米や日本だけでなく中東圏にも浸透している。イラン映画『英雄の証明』は、ひとりの男性がSNS上の評判によ… 続きを読む ...

カンヌも絶賛、人間の隠された心の闇を旅する西島秀俊主演の話題作『ドライブ・マイ・カー』

 人間が犯した過ちは、いつまで責められ続けるのだろうか。過去の言動やかつて発表した作品内容の一部を問われ、表舞台からの退場することになったクリエイターたちが近年は少なくない。村上春樹の短編小説を『寝ても覚めても』(18)の濱口竜介監督が映画化した『ドライブ・マイ・カー』は、主人公が亡くなった妻の犯した過ちと向き合い、ひと筋縄では済まない人間の多面性を受け入れていく物語となっている。 … 続きを読む ...

社会への絶望感が自動小銃の引き金を引かせた…豪州で起きた無差別殺人描く『ニトラム』

 日曜日の出来事だった。1996年4月28日、豪州タスマニア島の観光地・ポートアーサーで無差別大量殺人は起きた。死者35名、負傷者は23名に及んだ。ライフルを手に凶行に走った犯人は、マーティン・ブライアント。長い金髪の、ハンサムな顔立ちの20代の若者だった。「人づきあいが嫌いだった」という証言が残るマーティンだが、「シャイで優しい青年だった」という声もあった。風光明媚な観光地で、なぜマーティ… 続きを読む ...