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松山ケンイチ、長澤まさみが火花を散らす社会派ミステリー『ロストケア』

 高齢者たちを狙った連続殺人鬼と、法の番人である検事が、真正面から火花を散らして激突する。映画『ロストケア』は社会派ミステリーとして、とても見応えがある作品だ。殺人の容疑を掛けられる介護士に松山ケンイチ、自然死に見せかけた連続殺人に気づく検事に長澤まさみ。実力派俳優同士がガチで演技バトルを繰り広げる、スリリングなサスペンスとなっている。  作家・葉真中顕(はまなか・あき)が20… 続きを読む ...

加害者と遺族の両視点で描く法廷サスペンス! “少年犯罪”をテーマにした問題作『赦し』

 取り返しのつかない罪を犯した未成年者は、はたして更生することができるのか。愛する家族を奪われた被害者遺族は、加害者を赦すことができるのか。少年犯罪というシリアスなテーマに迫った映画『赦し』が公開される。インド出身のアンシュル・チョウハン監督が、日本社会を舞台に独自の視点から捉えた問題作として注目されている。  キャスティングも、日本のメジャー作品とはひと味違う。最愛の娘を殺害… 続きを読む ...

竹中直人監督、斎藤工主演『零落』はヒロイン・趣里の美しさに魅了される

 女優を美しく撮ることに関しては、トップクラスと言っていいだろう。竹中直人監督が撮る映画は、監督デビュー作となった『無能の人』(91)以降、どの作品もヒロインの美しさが際立っている。斎藤工を主演に迎えた竹中直人監督作『零落』は、趣里の美しさに誰もが魅了されるに違いない。  人気漫画家・浅野いにおの同名コミック(小学館)が原作。長期連載を終えた漫画家・深澤薫(斎藤工)が主人公だ。… 続きを読む ...

8ミリ映画の青春『Single8』 ファインダーの中のヒロインはなぜ美しいのか?

 憧れの存在に、ちょっとでも近づきたい。物づくりへの第一歩は、そんな初期衝動から始まる。技術も経験もお金もないが、情熱だけは余りあるほどある。小中和哉監督の新作映画『Single8』は、SF映画『スター・ウォーズ』(77)に感激した日本の高校生たちが自主映画づくりに燃える青春バックステージムービーだ。  映画ごっこみたいな始まりだが、主人公たちは映画制作を通して物づくりの面白さ… 続きを読む ...

“嘱託殺人”を題材にした犯罪映画『タスカー』絶望の先にあるものは何か?

 ジャン=リュック・ゴダールが死んだ。ヌーベルヴァーグの巨匠は、スイスの自宅で安楽死を選んだ。彼の最期を看取った家族や看護士に「ありがとう、みんな。この最期を実現してくれて……」という言葉を残したそうだ。2022年9月、ゴダールは91歳の生涯にみずから幕を下ろした。尊厳死をテーマにしたフランソワ・オゾン監督のフランス映画『すべてうまくいきますように』も、日本で現在公開されている。安楽死を望む… 続きを読む ...

ティモシー・シャラメ主演のR18ホラー 美しき人喰いたち『ボーンズ アンド オール』

 文明社会における最大のタブーとして、カニバリズム(人肉食)が挙げられる。人間が同じ人間を共食いするという行為には、戦慄を覚えずにはいられない。そんな禁断のテーマを描いたのが、ルカ・グァダニーノ監督の新作映画『ボーンズ アンド オール』(原題『BONES AND ALL』)だ。  ルカ監督のブレイク作『君の名前で僕を呼んで』(17)に主演したティモシー・シャラメとの再タッグ作と… 続きを読む ...

城定秀夫監督が映画界で高評価される理由とは? 映画愛溢れる『銀平町シネマブルース』

 生命の喪失と再生、夢の終わりと現実との対峙。文字にすると仰々しいが、そんな普遍的なテーマをユーモアと祝祭感をたっぷりに描いたのが、ただいま絶賛ブレイク中の城定秀夫監督の新作映画『銀平町シネマブルース』だ。埼玉県川越市に実在する創業60年を迎える老舗映画館を舞台に、生きづらさや貧困ビジネスといった社会問題を盛り込みつつ、ホロリとさせる群像劇コメディが繰り広げられる。  イケてな… 続きを読む ...

「高齢者売春組織」は善か悪か? シニアの性問題を描く『茶飲友達』

 事件が発覚したのは、2013年10月だった。高齢者専門の売春クラブが東京都内で摘発され、クラブの経営者が逮捕された。一般新聞に三行広告を掲載し、集まった男性会員は約1000人。女性会員は約350人で、82歳になる女性会員も在籍していたという。  この事件に着想を得たのが、外山文治監督のオリジナル映画『茶飲友達』だ。独居老人やシニア世代の性問題といった社会問題に鋭く斬り込んでい… 続きを読む ...

メンヘラ女子と意識高い系男子が出会った痛い青春もの『生きててごめんなさい』

 青臭くて、ひとりよがりで、あまちゃんで、心の奥にはケロイド状の傷が残ったままなので、振り返るのがかなりつらい……。社会人になりたての頃は、誰しも仕事や恋愛につまずき、のたうち回りたくなるような体験をしたのではないだろうか。青春と呼ぶには気恥ずかしい、そんな日々を生々しく描き出したのが、山口健人監督のオリジナル映画『生きててごめんなさい』(通称 #イキゴメ)だ。物語の主人公にはなれそうにない… 続きを読む ...

中国当局の検閲が2年間にも及んだ犯罪ミステリー『シャドウプレイ完全版』

 中国のロウ・イエ監督は、中国当局と闘い続けているタフな映画監督だ。中国ではタブーとなっている「天安門事件」を扱った『天安門、恋人たち』(06)は、国の許可が下りないままカンヌ国際映画祭での上映に踏み切り、以降5年間にわたる映画制作禁止処分を喰らった。  謹慎中も、中国ではやはりタブー視されている同性愛をテーマにした『スプリング・フィーバー』(09)をホームビデオで撮影し、こち… 続きを読む ...